2010年5月18日火曜日

『コッポラの胡蝶の夢』


 
 

映画『コッポラの胡蝶の夢』 (『YOUTH WITHOUT YOUTH』)
(2008)

監督,製作,脚本,フランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola 1939.04.07- )

原作,ミルチャ・エリアーデ(Mircea Eliade 1907.03.13-1986.04.22)

撮影,ミハイ・マライメア・Jr.(Mihai Malaimare Jr. 1975 - )

出演,ティム・ロス(Tim Roth 1961.05.14- )

アレクサンドラ・マリア・ララ(Alexandra Maria Lara 1978.11.12- )

マット・デイモン(1970.10.08- )(uncredited)











──現在のハリウッドの多くの作品はマーケティング先行です。あなたのようにリスクを冒す映画作家にとって、絶望的な世界なのでしょうか。

というインタビュアーの問いに対するコッポラの言葉

“スタジオは、映画をドル箱商品と見ている大会社によって所有されているから、以前にも増してリスクを嫌っているんだ。彼らは、毎回栓を開けるたびに同じ味がして変わりばえがしないコカコーラのような、予想可能な商品ばかりをほしがっている。観客はそれを“飲み干す”けれど、忘れられなくなるような映画の数は毎年減るばかりだ”
―コッポラの胡蝶の夢 : コッポラが語る映画製作と人生哲学 - 映画のことならeiga.com




 まさしくそのとおり。『YOUTH WITHOUT YOUTH』こういう映画を観たかった。







素晴らしい映画。




 フランシス・フォード・コッポラにとって1997年の『レインメーカー』以来の監督作品。



邦題の「胡蝶の夢」は荘子の故事から。

昔者、荘周夢為胡蝶。
栩栩然胡蝶也。
自喩適志与。
不知周也。
俄然覚、則遽遽然周也。
不知周之夢為胡蝶与、胡蝶之夢為周与。


「荘周が夢を見て蝶になり、蝶として大いに楽しんだ所、夢が覚める。果たして荘周が夢を見て蝶になったのか、あるいは蝶が夢を見て荘周になっているのか」
―荘子 - Wikipedia より抜粋




 ルーマニア。落雷。若返り。オルターエゴ。ナチスドイツ。輪廻転生。言語の起源。

観終えた後に謎は多く残り、立ち去らず身の中に沈みこんでいくかのような映画。




 次作は現在アメリカで公開中の『Tetro』