2011年2月9日水曜日

ウディ・アレンの映画術

もし、僕が(あなたが)ニューヨークのセントラルパークを見降ろせる彼のアパートメントを訪ねたとします。



彼は少しよれたコーデュロイのパンツと飾らないコットンのシャツ、その上にVネックのセーターを着ている。

そこで僕(もしくはあなた)は彼が撮り続けている多くの映画にいかに魅了されたかを(彼のスタンダップ・コメディのときの話し方をまねて)話す。


「以前、『カメレオン』の素晴らしさに感動してすべての台詞を一言ももらさずタイプライトしたことがあります。

と言い、

あなたを通じてベルイマンの『野いちご』に触れることができました。それは素晴らしい体験でした。

そして『さよなら、さよならハリウッド』は何度見返しても飽きることない優れた作品だと思います。

『メリンダとメリンダ』で見ることができた悲劇的要素を含む喜劇と喜劇的要素を含む悲劇のコントラストに参り、ひりひりするほどの展開を見せた『マッチポイント』のシリアスさについては言うまでもありません。

と言い、


彼は「いや、まあ、うん」

とか

「そうだね」

と相づちを打つ。


そうした会話を交わし、彼が自宅の居間に招いてくれ、自作について、そして自らのすべてについて語ってくれることはあるのだろうか。

おそらくないだろう。


だが、そういった言葉を見聞きしたかのように読めるのが対談本の価値ある側面です。










この表紙に使われている写真にギャグ・ライターであり、スタンダップ・コメディアンであると同時にシリアスな側面を劇化しようと模索し続けているウディ・アレンのほとんど全てが物語られている。






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