映画『マイレージ、マイライフ』 (『UP IN THE AIR』)
(2009)
監督,製作,脚本,ジェイソン・ライトマン(Jason Reitman 1977.10.19- )
製作,アイヴァン・ライトマン(Ivan Reitman 1946.10.27- )
原作,ウォルター・カーン(Walter Kirn 1963 - )
脚本,シェルドン・ターナー(Sheldon Turner - )
撮影,エリック・スティールバーグ(Eric Steelberg 1977.04.01- )
出演,ジョージ・クルーニー(George Clooney 1961.05.06- )
ヴェラ・ファーミガ(Vera Farmiga 1973.08.06- )
アナ・ケンドリック(Anna Kendrick 1985.08.09- )
『マイレージ、マイライフ』オフィシャルサイト
素晴らしい脚本。ハリウッド映画がかろうじて残した良心。
こういう映画をたくさん見たい。
第82回アカデミー賞で5部門にノミネートされました。
主演男優賞(ジョージ・クルーニー)
ご存知かもしれませんが、賞の結果は『アバター』と『ハート・ロッカー』の一騎討ちで『ハート・ロッカー』がごっそり持っていった結果になりました。
ですが、やはりそれはハリウッド映画関係者上での評価。
『ハート・ロッカー』よりも『アバター』よりも『マイレージ、マイライフ』。
それほどこの映画の脚本は素晴らしいものでした。
ちなみに、原題の『UP IN THE AIR』には“上空の”という意味のほかに、“不安定な”、“未解決の”、“着地していない”といった意味合いもあります。
大企業が人員整理のために雇うのがリストラ宣告人たち。そのリストラ宣告人の中の一人、ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)。彼は一年のうち322日間出張のため全米を飛び回っている。アメリカン航空のみを使い、VIP顧客としてのサービスを最大限に活用して、搭乗手続き、ホテル、レンタカーを利用する。そんな彼の目標は史上7人目の1000万マイルの達成。
ある出張先のホテル内のバーラウンジで、自分と同じように出張を繰り返し、全米を飛び回っている女性アレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会い、意気投合し、関係を持つ。
そして、出張先で時間の合間をぬって会い、UP IN THE AIRな関係を楽しんでいた。
ビンガムにとっては、キャリアアップと超資本至上主義の世界でぎりぎり成立させることのできる(過酷でありながらも)どこか快適な生活だった。
空飛ぶ恋と近づく1000万マイル、すべてが順調だったそのとき入社してきたナタリー(アナ・ケンドリック)は解雇通告をインターネットの画面越しにすることを提案。そうすれば人件費と出張費を大幅に削減することができると。
「この仕事のことを理解していない」と猛反対したライアン・ビンガムに対し、上司は「その仕事を理解させる」ためにナタリーを同行させる。
行く先々で解雇通告(退職勧告)を行なうナタリーはそこで初めて一人一人に抱える家庭であり人生があることを痛感させられる。
心理学に基づいたフローチャートに応じた交渉。理論上は成立していても人間に合理化をあてはめることはできずにいた。
そんなナタリーに一通のメールが届く。それは交際していた彼からの別れのメールだった。
たった一通のテキスト・メッセージで関係を断たれたことにナタリーはひどく落ち込んでしまう。だが、直接人間と向かわないデタッチメント上で行なう関係処理。それこそが彼女がやろうとしていることだった。
そこでナタリーはビンガムとアレックスに相談する。
ある意味では達観してしまった二人に相談するこれからキャリアアップを目指す新入社員。そして私生活との両立。
ここでの会話がこの映画のみどころの一つです。