英タイムズ紙のロングインタビューでウディ・アレン監督が自作について語ったというニュースが。
ウッディ・アレン監督が選ぶ自作ベスト6
74歳のウッディ・アレン監督が、英タイムズ紙のロングインタビューに答えて、40本を超えた自作と自身の老いについて語った。
自作に満足しているかの問いに「ノー」と即答したアレン監督。自分には、ほとんどの監督が生涯得ることのできない「制作上の自由」があったにもかかわらず、それを生かすだけの才能がなかったと自身のキャリアを振り返っている。そして、「40作品中30本が傑作で、あとは8本の崇高な失敗作と、2本の汚点。そのぐらいの配分であってしかるべきだったが、そうはならなかった。どれも映画界の標準からすればそこそこ楽しめる作品だったかもしれないが、黒澤やベルイマン、フェリーニ、ブニュエル、トリュフォーといった人たちの映画を見たあとに私の映画を見るといい。(中略)ある程度の年齢になると、人は自分の凡庸さを認めざるをえないものだ」と淡々と話した。
そんななか、アレン監督が自身のフィルモグラフィのなかでほかよりも若干優れているとして挙げたのが以下の6作品。ただし、今後も映画作りを辞めるつもりはないとのことで、「映画を作っていなければ、家に引きこもってずっと自分の死について考えてしまうだろうからね」というのがその理由だそうだ。
▽「カメレオンマン」(83)
▽「カイロの紫のバラ」(85)
▽「夫たち、妻たち」(92)
▽「ブロードウェイと銃弾」(94)
▽「マッチポイント」(05)
▽「それでも恋するバルセロナ」(08)
(映画.com速報)
『カメレオンマン』が入っていることに驚いた。
モキュメンタリーの手法をとった素晴らしい映画。ウディ・アレン作品としては知名度は低いかも知れませんが、創作にかかっているだろう手間と歳月、そして完成度はトップレベルではないかと。
そうか、やっぱり自分の中でも気に入ってるんだ。
確かに、ウディ・アレン監督には「制作上の自由」がありました。ですが、だからといってベルイマンやフェリーニの作品と比べて、卑下することもないと思う。
どれだけ憧れが強かろうと、その作風は全く違うものですから。
ウディ・アレン監督作品の良さはあくまでもウディ・アレンにしかなし得ないコメディ・ライティング(comedy writing)とその佇まいです。
画面の中に映っているだけで喜劇になってしまう。他の誰にも真似できない素晴らしい特徴です。
たとえば、『世界中がアイ・ラヴ・ユー』 の中で、パリに住む父親役だからといってフランスパンを抱えて歩く姿だとか。
たとえば、『スコルピオンの恋まじない』の中で、保険会社の敏腕調査員役で廊下を大股で闊歩する姿だとか。
あまりにも素晴らしい「コンスタンティノープル」のシーンだとか。
たとえば、『さよなら、さよならハリウッド』の中でのレストランでの降って沸いて鎮まる口論シーンだとか。
素晴らしいコメディ・ライティングの才能と、それを最大限に生かすことのできる容姿と演技。
それ以外に何か必要なのでしょうか。
もし、人生に救いがあるとすれば、それは笑いが起きているときだけですから。
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